60代おひとりさま、つれづれなるままに

「家族」って何だろう?


綾野剛主演の「ヤクザと家族」という映画を見にいった。


10代でヤクザの「親父」に拾われ、親父を守るため殺人事件を起こして、14年も服役する。
一方、服役前に好きになった女性に再会し、自分との間の子どもが中学生になっているという事実を知る。
一緒に暮らすため組を抜けるが、ネット上で噂を流され、役所勤めの彼女は退職を余儀なくされ・・・



ここ数年、映画に行く回数が増えた。
チケットもらったり、高齢者割引が使えたり、何より徒歩5分のところに映画館があるということも大きい。


「万引き家族」「パラサイト」そして、2011年公開だけど、昨年市民図書館で見た中国映画「桃(タオ)さんの幸せ」・・・


家族をテーマにしたものが多い。
ずっと、親子関係について考え続けているからかな。
別れれば夫婦は他人だけど、血縁は切れない。
その深さゆえ、「毒親」「母原病」などという言葉も生まれるような、苦しい家族関係があるのだ。


実家は教育にはお金をかけてくれたけれど、窮屈で耐え切れず、早く家を出て早く結婚した。
自分が親からされて嫌だったことは、絶対子どもにしない―そうしたつもりだったのに、やはり負の親子関係は連鎖してしまうようだ。
今、修復中というところか。


「万引き家族」を見てボロボロ涙が出た。
血縁は全くない。子どもたちも半分誘拐されてきたようなもの。汚く狭い家で、盗んだカップラーメンやパンを食べている。あの暮らしが羨ましいはずはない。


だけど、だけど、あの暖かさは何だろう!
「家族」の誰かが、他の人を責めたりしない。しちゃいけないことや隠さなきゃいけないこともない。自然にかばい合い、生活が成り立っている。
誘拐された子どもたちだって、居場所がなくてついてきたんだもの。
家族って、あんなにゆるゆると気楽につながれるんだ!
何の規範もなく、くつろいで、笑って・・・


明るい映画じゃないけど、優しい気持ちになれる。


「ヤクザと家族」も、誰も幸せになっていないのに、とても暖かく優しい気持ちになった。