60代おひとりさま、つれづれなるままに

究極の断捨離ー方丈記の世界


学校で「無常観」という言葉とセットで習う、鴨長明(かものちょうめい)の方丈記。
東日本大震災の後は、災害文学としてちょっとしたブームになった。
だが、私は「終活文学」として読んでみたい。


(画像おかりしました)


市の老人福祉センターで古典講座をやろうと思っている。
先生も生徒も60歳以上という条件付きのシニア教室だ。
先生募集の記事を「市政だより」で見つけ、先日2か所のセンターの園長面接に行った。
園長さんは興味をもってくださり、面接はパス。
だが、古典は最近敬遠されがちで、運動系、アロマ、占星術などが人気だ。
受講生が10人以上集まらないと開講できない。いかに興味をもってもらうか思案中だ。


方丈記から再現した長明の庵。

(画像お借りしました)


長明は賀茂神社の神官の家に生まれ、若い頃は裕福で大きな邸宅に住んでいた。
50歳を過ぎて、山の中に4畳半ひと間の家を作る。そのひと間を、睡眠コーナー、仏道修行コーナー、趣味のコーナー(楽器や和歌を作る)に分けている。


上から見るとこんな感じ。
狭いし、きちんと仕切られているわけではない。

(画像お借りしました)


もちろん家電もなく、出家の身だから着物も多くいらない。とても質素だ。
だが、一人暮らしならこれで充分ではないか。
ものが少ないと言っても、修行や趣味に必要なものはしっかり確保している。
心豊かに暮らせるだろう。


しかも彼は、山の中で人と交わらずに過ごしたわけではない。
京の都に出かけて、情報収集したり和歌の会に参加していたりしていたようだ。


ものは断捨離できても、人間関係は断てない。
現代の高齢者の生き方を示してくれる作品だと思う。